「FBA と自社発送、どちらが安いか」を検討するとき、多くの記事は一般論のメリット・デメリット比較で終わります。しかし答えは「自社の出荷量とサイズ」でしか出ません。この記事では、外注と自社を 1個あたりの実額 で並べて損益分岐を出す手順を、仮の計算例と判断基準で示します。
一般論では答えが出ない理由
「FBA は楽だが手数料が高い」「自社は安いが工数がかかる」——この抽象比較で決めると、月間出荷 50 個の店舗と 3,000 個の店舗が同じ結論に流れてしまいます。物流の外注は「良い悪い」ではなく 損益分岐の問題 です。自社の SKU サイズ・月間出荷量・作業人時によって答えは変わります。
1個あたり実額で並べる(両サイドを同じ粒度で)
外注側(FBA・RSL 等)に載せる項目
- 配送代行手数料(サイズ・重量で変動)
- 保管料(サイズ × 期間、月次課金)
- 長期保管手数料(181 日超・365 日超で加算)
- 返品処理手数料(カテゴリによる)
自社側に載せる項目
- 送料実費(宅配便契約単価 × 出荷量)
- 梱包資材(箱・緩衝材・テープ・伝票)
- 作業の人時(ピック→梱包→ラベル発行→引き渡しの合計分数 × 時給換算)
- 出荷ミス・遅延のリスクコスト(再送・返金・評価毀損)
※ 料率はサイズ・カテゴリ・時期で変わります。最新は各モール公式(Seller Central / 楽天 RMS ヘルプ等)を必ず参照してください。
仮の計算例:小型 SKU・月間 500 個
以下は説明のための仮の計算例です。
自社発送
- 送料 450 円 + 梱包資材 40 円 + 作業 8 分(時給 1,500 円換算=200 円)+ ミスコスト 10 円 = 1個あたり 700 円
外注(小型・標準サイズ想定)
- 配送代行手数料 380 円 + 保管料 15 円(回転良好前提)+ 事務手数料 5 円 = 1個あたり 400 円
この条件では、月間 500 個 × 差額 300 円 = 月 15 万円 の外注優位。ただし在庫回転が悪化して保管料が 3 倍に膨らめば、差額は急速に縮みます(在庫回転の話は別記事で扱います)。
見落としがちな 3 項目
- 長期保管手数料:滞留在庫は外注コストを跳ね上げる。回転日数を管理していない SKU は、外注に出した瞬間に「外注が高くつく」判定に化ける。
- 繁忙期の自社作業限界:セール期に出荷が詰まると、配送遅延 → 配送指標悪化 → カートロス・検索順位低下まで波及する。粗利計算に載らない隠れコスト。
- エース人材の人時の機会損失:出荷作業に社長や販売企画のエースが入っている場合、「時給 1,500 円」ではなく「本来やるべき販売企画の粗利」で見直すべき。
判断基準(if-then)
- 出荷量が伸びて 作業人時が週次で限界に近づいた → 粗利の薄い SKU から 外注へ切り替える
- 在庫回転が 60 日超 の SKU → 外注に出す前に、まず在庫回転を直す
- サイズが大型 で外注手数料が跳ねる SKU → 自社に残す方が有利なことが多い
- セール依存度が高い ブランド → 繁忙期の詰まりリスクが大きいため、外注化を早めに検討
まとめ
物流の外注判断は「良い悪い」ではなく「1個あたり実額を並べて損益分岐を出す」作業です。SKU 別・サイズ別に並べれば、外注が有利な SKU と自社が残す SKU が同時に見えてきます。
ここまで整理しても、物流費まで引いた後の「広告後粗利」が SKU 別に見えていないと、外注判断は結局感覚に戻ります。物流費を含めた広告後粗利の可視化から、赤兎馬の無料 EC 診断でお手伝いできます。店舗 URL をお送りいただければ、改善余地をレポートでお返しします。→ https://ec-sekitoba.jp/#contact