「在庫表では黒字。なのに月末の入金は思ったより少ない」——その差を生んでいるのが、FBAの保管料かもしれません。
この記事を読むと、①FBAの保管料がどう積み上がるか ②売れ残りが粗利を削る仕組み ③滞留在庫を数字で見つける方法 ④値下げ・返送・廃棄の判断軸——が分かります。
FBAの保管料は「2階建て」で効いてくる
FBAに在庫を預けると、保管料は大きく2種類かかります。
1階:在庫保管手数料。商品の容積(サイズ×数量)に応じて毎月かかる料金で、一般に年末商戦などの繁忙期は料率が上がります。
2階:長期在庫保管手数料。一定の保管期間を超えて残った在庫に、上乗せで課金される料金です。
重要なのは、料率も対象保管日数もカテゴリ・時期で改定されること。「去年と同じ」と思い込まず、最新はセラーセントラルで必ず確認してください。
「黒字のはず」が静かに溶ける仕組み(仮の計算例)
※以下はすべて説明のための仮の計算例です。
販売価格3,000円/原価1,000円のSKUを考えます。販売手数料・配送代行手数料・広告費を引いた後の「広告後粗利(=結局いくら手元に残るか)」が1個あたり800円残るとします。一見、しっかり黒字です。
ところがこのSKU、月に10個しか売れないのに在庫を300個抱えていたら——回転は単純計算で30ヶ月。その間ずっと保管料がかかり、やがて長期保管手数料の対象にも入っていきます。
仮に1個あたりの保管関連コストが月20円でも、300個を十数ヶ月持てば数万円規模。1個800円の粗利が、保管料の総額でじわじわ目減りします。「単品では黒字」でも「在庫全体では出血」が起こるのです。
滞留在庫は「数字」で炙り出す(チェックリスト)
感覚で「なんとなく残っている」では遅い。月1回、次の数字を見てください。
- 在庫回転日数 = 在庫数 ÷ 1日あたり販売数
- 90日超:滞留候補としてマーク
- 180日超:値下げ・セット販売・広告で回転を加速できないか検討
- 長期保管手数料の対象期間に近いSKU:手を打つ最終ライン
判断基準(if-then):
- 回転日数が伸びている かつ 広告後粗利が薄い → 値下げより先に「持ちすぎ」を疑う
- 売れ筋なのに在庫切れ寸前 → 逆に発注を増やす
値下げ・返送・廃棄の判断軸
滞留と分かったら、選択肢は主に3つ。「これから払う出血額」の比較で決めます。
- 値下げして回す:値下げ後も広告後粗利がプラスで、回転が見込めるなら最優先。
- 別チャネルへ返送:自社サイトや他モールで定価に近く売れるなら、返送費を払っても合理的。
- 廃棄:残存価値とこれから払い続ける保管料を比べ、止血が必要なら有効。
「もったいない」で寝かせ続けるのが、いちばん高くつく選択であることは少なくありません。
まとめ
FBAの利益は「単品の粗利」ではなく「在庫が回ってはじめて確定する粗利」です。保管料は2階建てで効き、回転の遅いSKUほど広告後粗利を後ろから削ります。月1回、在庫回転日数を見る習慣をつけるだけで、「黒字のはずが溶ける」事故はかなり防げます。
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