「楽天とYahoo!の粗利はちゃんと残っているはずなのに、月末の入金が思ったより少ない」——その差の多くは、ポイントとクーポンの原資です。この記事では、店舗が負担するポイント・クーポンを粗利からどう引くかを、仮の計算例とチェックリストで整理します。
ポイント・クーポンは「コスト」ではなく「実質値引き」
ポイントもクーポンも、店舗が負担した分はそのまま売値からの値引きと同じです。お客様が払う金額は変わらなくても、店舗の手元に残る金額はその分だけ減ります。にもかかわらず、多くの損益表は「販売価格 − 原価 − 手数料」で粗利を計算し、ポイント原資を引いていません。これだと利益を実態より大きく見積もってしまいます。
どのポイントが「店舗負担」かを見分ける
原資を引くうえで最初の関門は、その費用を負担しているのが店舗かモールかの切り分けです。
- 楽天:店舗が任意で設定するショップポイント(イベント時の変倍上乗せ分など)は店舗負担になるのが基本。買い回りなどモール施策側のポイントはモール負担のことが多い。
- Yahoo!:ストアが設定するストアポイントの倍率分はストア負担。
負担区分と料率はプログラム・時期で変わるため、正確な負担率は必ず楽天RMS/Yahoo!ストアクリエイターProのヘルプで最新を確認してください。ここでは「店舗負担分だけを原資として引く」という原則だけ押さえます。
仮の計算例:原資を引く前と後
以下はすべて説明のための仮の計算例です(実際の料率・手数料は各モール公式を参照)。
- 販売価格:3,000円
- 原価:1,200円
- モール手数料+決済+送料:約800円
- → ここまでの粗利:1,000円(粗利率33%)
ここに、イベントで店舗が上乗せした店舗負担ポイント5%(150円)と、200円OFFクーポン(実際に使われた分)が乗ると:
- ポイント原資:150円
- クーポン原資:200円
- → 原資控除後の粗利:650円(粗利率約22%)
見かけの粗利の約3分の1が、ポイントとクーポンで消えていたことになります。ポイント変倍を大きくかけるイベントほど、この差は開きます。
原資控除後の粗利で損益分岐ACoSを引き直す
ここが最も強調したい点です。ACoS(広告費÷広告経由売上)の損益分岐点は、粗利率から逆算します。先の例で33%のまま損益分岐ACoSを計算すると、本当は22%しか残っていないのに「まだ広告を出せる」と誤判断し、広告を出しすぎて赤字になります。広告の上限は、必ず原資控除後の粗利率で引き直してください。広告“後”に手元へ残る額こそが、本当の利益です。
粗利からポイント原資を引く前のチェックリスト5項目
- そのポイントは店舗負担か、モール負担か(店舗が設定した変倍上乗せ分だけを原資にする)
- お買い物マラソン・スーパーSALE・5のつく日など、イベント時の上乗せを月平均で織り込んでいるか
- クーポンは「発行額」ではなく「実際に使われた額」で引いているか
- 原資控除後の粗利率で損益分岐ACoSを再計算しているか
- SKUごとに原資負担率が違うことを見ているか(高単価ほど原資の絶対額が大きい)
まとめ
ポイントとクーポンは販促の武器ですが、原資を粗利から引かなければ「売れているのに残らない」状態は見抜けません。まずは1つのSKUで、原資控除前と後の粗利率を並べてみてください。1行加えるだけで、広告予算の判断が変わります。
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