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「平均利益率20%」の裏に潜む赤字SKU──広告後粗利で見るSKU別損益の作り方

#EC運用 #ネットショップ運営 #Amazon物販 #広告後粗利 #SKU別損益 #損益分岐ACoS

「うちはEC全体で利益率20%出ているから大丈夫」──そう聞いて安心したことはありませんか。その平均は、よく稼ぐ数本のSKUが、静かに赤字を垂れ流すSKUを覆い隠した「ならし」の数字かもしれません。

この記事では、①なぜ全社平均では利益の穴が見えないのか ②「広告後粗利」でSKU別の損益をどう作るか ③独自フレーム『SKU別広告後粗利マップ』で撤退・集中をどう判断するか──を、仮の計算例とチェックリスト付きで解説します。

「平均」は赤字SKUを覆い隠す

全社の損益計算書(PL)は、すべてのSKUの売上と費用を合算した「合計」です。合計を売上で割れば平均利益率が出ますが、ここに落とし穴があります。よく売れて粗利の厚いSKUが稼いだ利益が、薄利・赤字のSKUの損失を埋め合わせてしまうからです。

たとえば全社で営業利益率20%だとしても、その内訳が「利益率35%のSKUと、利益率マイナス10%のSKUの混在」であるケースは珍しくありません。平均だけを見ている限り、後者にいくら広告費と運用工数を注ぎ込んでいても気づけない。利益の穴は、平均という“ならし”のなかに沈んでいます。

まず押さえたいのは、「全社が黒字=すべてのSKUが黒字」ではないという当たり前の事実です。

利益はパレートで偏る(仮の計算例)

商品ラインナップの利益貢献は、たいてい均等になりません。いわゆるパレートの法則(上位2割が成果の8割を生む)と同じく、一部のSKUが利益の大半を稼ぎ、下位のSKUがそれを食う構造になりがちです。

ここで、説明のための仮の計算例を見てみます(数値はすべて架空で、特定店舗の実数ではありません)。月商1,000万円・営業利益200万円(平均利益率20%)の店舗を、SKU別の広告後粗利で分解します。

合計するとちょうど200万円。平均利益率は20%で「健全」に見えます。しかし中身は、A・Bの2SKUだけで210万円を稼ぎ、D・Eの2SKUが合計40万円の赤字を垂れ流している。この店舗が本当に手を打つべきは「全体の広告費を一律で削る」ことではなく、DとEに何が起きているかを特定することです。

平均で見ていると、Aの好調がDの赤字を覆い隠し、「全体としてはまあまあ」で止まってしまう。これが平均の罠です。

「広告後粗利」でSKU別PLを作る

赤字SKUを見つける鍵が広告後粗利です。これは、

> 広告後粗利 = 売上 −(原価 + モール販売手数料 + FBA等の出荷・保管費 + ポイント原資 + 広告費)

で計算する、広告費まで引いたあとに手元へ残る利益のこと。多くの店舗は「原価を引いた粗利」までは把握していても、広告費を引いた“後”の粗利をSKU単位では見ていません。ここが利益の穴の温床です。

判断の物差しになるのが損益分岐ACoSです。ACoS(Advertising Cost of Sales=広告費 ÷ 広告経由売上)は広告の費用対効果を表す指標で、「広告前の粗利率」と同じ水準が損益分岐点になります。たとえば広告前粗利率が25%のSKUは、ACoSが25%を超えた瞬間、その広告経由の売上は売るほど利益が削れていきます。広告前は黒字でも、ACoSが損益分岐を超えていれば広告後粗利はマイナス──これが先ほどのD・Eで起きていることです。

SKU別PLを作るために最低限そろえる5つの数字(赤字SKUを見つけるチェックリスト):

  1. SKUごとの売上
  2. SKUごとの原価(仕入+自社送料・梱包費込み)
  3. モール販売手数料率(カテゴリで異なる。最新は各モール公式を参照)
  4. FBA・出荷手数料/保管料
  5. SKUごとの広告費(+クーポン・ポイント原資)

この5つをSKU単位でひも付けるだけで、「広告後にいくら残るか」が見え、覆い隠されていた赤字が表に出ます。

独自フレーム:SKU別広告後粗利マップ

数字が出たら、打ち手を決めるために『SKU別広告後粗利マップ』へ落とします。各SKUを2軸でプロットするだけのシンプルなフレームです。

これで4象限に分かれます。

大事なのは、「売上が大きいSKU」と「利益が残るSKU」は別物だと、マップが一目で突きつけてくれることです。感覚で「売れ筋だから残す」と判断していたSKUが、実は左上や左下にいた──という発見はよく起きます。

撤退か集中か──判断のチェックリスト

マップ上の左側(低粗利)のSKUは、いきなり撤退せず、次の順で見極めます(if-then の判断基準)。

ポイントは、赤字SKUを切ること自体が目的ではないということ。狙いは、限られた広告費と人の工数を、利益が残るSKUへ寄せ直すこと。マップは、その配分判断を「感覚」から「損益」へ移すための道具です。

まとめ:まず自社のマップを描く

まずは自社のSKUを、上の5つの数字でひも付けてみてください。それだけで景色が変わります。「自社で全SKU分を作るのは工数的に難しい」「広告後粗利の出し方に自信がない」という場合は、店舗URLをお送りいただければ、改善余地を無料EC診断レポートでお返しします(成果を保証するものではなく、現状を可視化するための診断です)。自社の利益の穴がどこにあるか、まず一緒に見えるようにしましょう。

引用元
・Amazon「出品にかかる費用(販売手数料・FBA料金)」Amazon Seller Central ヘルプ(カテゴリ別料率・最新版を参照) ・楽天市場 出店案内/RMS ヘルプ(システム利用料・ポイント原資の料率) ※記事中の販売価格・手数料率・ACoS・損益額はすべて説明のための仮の計算例(架空の数値)。実際の料率は時期・カテゴリで異なるため、各モール公式を必ず参照。