広告費は増えているのに、なぜか利益が残らない——その原因が「商品」でも「広告の出来」でもなく、出しているモールの利益構造にあることは珍しくありません。
この記事では、同じ商品・同じ売価でも Amazon/楽天/Yahoo! で「手元に残る利益(広告後粗利)」がどれだけ変わるかを、仮の計算例で横並びにします。読み終えると、価格と広告予算を全モール一律にしてはいけない理由が分かります。
「広告後粗利」とは何か
広告後粗利とは、売価から原価・モール手数料・ポイント原資・広告費まで引いた後に、実際に手元へ残る金額のことです。粗利率や「売れた数」だけを見ていると黒字に見えても、ここまで引くと薄い、というSKUは珍しくありません。利益を語るなら、必ず広告“後”の残りで見ます。
なぜ同じ商品で利益が変わるのか
同じ売価でも、モールごとに差し引かれる額が違うからです。主に効くのは次の3つ。
- 販売手数料率(カテゴリで異なる)
- ポイント原資の店舗負担分(通常ポイント+イベント変倍の負担)
- 決済手数料・アフィリエイトなど「見えにくい控除」
この3つの合計が、モールによって売価の十数%〜二十数%まで変わります。
仮の計算例:売価5,000円を3モールで横並び
前提をそろえます。売価5,000円・原価(仕入+配送梱包)2,500円・広告費はACoS20%で1,000円に固定。差が出るのは「モール手数料」と「ポイント原資」だけ、として並べます(ACoS=広告費÷広告経由売上)。
| 項目 | Amazon | 楽天 | Yahoo! |
|---|---|---|---|
| 売価 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
| 原価(仕入+配送) | -2,500円 | -2,500円 | -2,500円 |
| モール手数料 | -750円 | -850円 | -350円 |
| ポイント原資(店舗負担) | -50円 | -200円 | -200円 |
| 広告費(ACoS20%) | -1,000円 | -1,000円 | -1,000円 |
| 広告後粗利 | 700円 | 450円 | 950円 |
| 粗利率 | 14% | 9% | 19% |
同じ売価5,000円・同じ広告費でも、手元に残るのは450〜950円。最大で約2倍の差です。
※これは説明のための仮の計算例です。実際の販売手数料率・FBA料金・ポイント原資はカテゴリ・時期・店舗プランで異なります。最新は各モール公式(Amazon Seller Central/楽天RMS/Yahoo!ストア向けヘルプ)でご確認ください。
「使い回し」が機会損失になる理由
同じページ・同じ価格・同じ広告費を全モールにそのまま流用すると、この利益差を無視することになります。広告後粗利が薄いモールで広告を踏むほど、利益の出るモールで稼いだ分が削られます。「とりあえず3モールに同じものを並べる」は、出店数が増えても利益が増えない典型です。
ここで使う指標が損益分岐ACoS(=広告後粗利がちょうどゼロになるACoS)です。これをモール別に出すと、「このモールはACoS20%でも黒字/こちらは15%が上限」という上限ラインがモールごとに違うことが分かります。
モール別に出し分けるチェックリスト
判断の軸はシンプルです。粗利率が一桁%のモールは、広告を増やす前に売価とポイント設計を見直す。広告後粗利が厚いモールに広告予算を寄せる。出す前に次の5項目を確認してください。
- [ ] モール別の販売手数料率(カテゴリ別)を実額で把握したか
- [ ] ポイント原資の店舗負担分(通常+イベント変倍)を粗利に織り込んだか
- [ ] 決済手数料・アフィリエイト等の見えにくい控除を足したか
- [ ] 損益分岐ACoSをモール別に算出したか
- [ ] 粗利率が一桁のモールで、広告増額より先に売価・ポイント設計を見直したか
まとめ
同じ商品でも、広告後粗利はモールで大きく変わります。価格も広告予算も全モール一律ではなく、利益構造に合わせて出し分けるのが基本です。
まずは自社の主力商品で、モール別の広告後粗利を一度並べてみてください。それだけで「どこに広告を寄せ、どこで価格を見直すか」が見えてきます。店舗URLを入れるだけの無料EC診断もやっています:https://ec-sekitoba.jp/#contact