楽天RPP(楽天プロモーションプラットフォーム=検索結果に商品を出すクリック課金型の広告)の管理画面で、「全体ROASが黒字だから広告はうまくいっている」と判断していませんか。その黒字、実は指名キーワードの高ROASが、一般キーワードの赤字を覆い隠しているだけかもしれません。
この記事を読むと、次の3つが分かります。
- 全体ROASだけで黒字判定してはいけない理由
- KW別の損益分岐ROAS(=1÷粗利率)の出し方と早見表
- 楽天特有の「ポイント原資」を踏まえた“本当の粗利率”の測り方
※記事内の数値はすべて説明のための仮の計算例です。手数料率・ポイント施策の仕様はカテゴリや時期で異なるため、最新は楽天RMSの公式情報をご確認ください。
全体ROASが黒字でも安心できない理由
RPPはクリックごとに課金されるCPC型の広告で、ROAS(広告経由売上 ÷ 広告費)が黒字判定の主要指標です。問題は、管理画面トップの「全体ROAS」が複数キーワードの“平均”だということ。平均が黒字ラインを超えていても、内訳には黒字ラインを割るKWが紛れます。とくに指名KW(自店ブランド名)は広告を出さなくても自然流入で一定取れることが多く、その高ROASが全体平均を押し上げ、一般KWの赤字を見えなくします。
損益分岐ROAS=1÷粗利率(早見表つき)
損益分岐ROASとは、広告費を払った後の利益がちょうどゼロになるROASのこと。「売上×粗利率 ≥ 広告費」を整理すると、ROAS(売上÷広告費)≥ 1÷粗利率 になります。つまり基準は粗利率だけで決まります。
| 粗利率 | 損益分岐ROAS |
|---|---|
| 20% | 500% |
| 25% | 400% |
| 30% | 333% |
| 35% | 286% |
| 40% | 250% |
判断基準はシンプルです。あるKWのROASがこのラインを下回ったら、そのKWは売れていても広告は赤字。まずは自店の粗利率に対応する1行を、KW評価の“合格ライン”として固定してください。
仮の計算例:見かけの黒字に赤字KWが紛れる
粗利率30%(損益分岐333%)の店舗を想定した、説明のための仮の計算例です。
| KW | 広告費 | 広告経由売上 | ROAS | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 指名「ブランド名」 | 1万円 | 8万円 | 800% | 黒字 |
| 一般「カテゴリ名」 | 4万円 | 10万円 | 250% | 赤字 |
| 関連「用途名」 | 2万円 | 6万円 | 300% | 赤字 |
| 合計 | 7万円 | 24万円 | 343% | 黒字(見かけ) |
合計のROASは343%で損益分岐333%を上回り、一見「黒字」です。しかし一般KW(250%)と関連KW(300%)は分岐ラインを割っています。指名KWの800%が全体を押し上げているだけで、その指名は広告を止めても自然流入で一定取れる可能性が高い。実態は「止められるはずの赤字」を垂れ流している状態です。
KW別損益分岐ビューの作り方と、楽天特有の罠
やることは難しくありません。
- 自店の“本当の粗利率”を確定する(後述)
- 損益分岐ROAS=1÷粗利率 を計算する
- RPPのKW別レポートをCSVで出力する
- ROAS列に条件付き書式を入れ、分岐ROAS未満を赤く塗る
- 赤いKWを「入札を下げる/除外/ページ改善でCVRを上げる」で打ち分ける
打ち分けの判断軸(if-then)はこうです。
- 分岐割れ&CVRは平均以上 → CPCが高すぎる → 入札を下げる
- 分岐割れ&CVRが低い → ページが弱い → ページ改善を優先(広告だけ絞っても伸びない)
- 指名KWの高ROAS → 広告依存度を確認。止めても取れるなら、その予算を検証中の一般KWへ回す
ここで基準を狂わせる最大の罠が“粗利率の出し方”です。楽天では、システム利用料・決済手数料・送料無料ライン負担に加え、ポイント原資(通常ポイント+SPU+イベント変倍)が粗利を削ります。これを引かずに表面の粗利率で計算すると、分岐ラインが甘くなり、赤字KWを黒字と誤判定します。
たとえば表面粗利率35%でも、ポイント原資5%+送料負担3%を引くと実質27%。損益分岐ROASは286%ではなく約370%へ。84ポイントぶん基準が甘くなっていた、という仮の計算例です。広告“後”の実利益で見て初めて、どのKWが本当に黒字かが分かります。
まとめ:まず「本当の粗利率」を確かめる
全体ROASはあくまで平均です。黒字に見えても、損益分岐ROAS(1÷粗利率)を割るKWは紛れます。①本当の粗利率を出す→②分岐ROASを合格ラインにKW別で色分け→③割れたKWを入札・除外・ページで打ち分ける。この3手で広告費のムダ打ちは減らしやすくなります。
ただ、ポイント原資や手数料を正しく引いた「本当の粗利率」を出し、数百のKWを毎週見直すのは、片手間ではなかなか重い作業です。まず自店の現状を可視化したい方は、店舗URLをいただければ、広告“後”の利益で見た改善余地をレポートにしてお返しします(無料EC診断・成果を保証するものではありません)。
→ 赤兎馬 無料EC診断:https://ec-sekitoba.jp/#contact