AIで動画台本やSNS投稿を日次生成していると、ある日ふと不採用の山ができる。私たちの自社ブランドでも、9月5日のレビューで22本中16本が×になった。
直す作業で終わらせると、翌日もほぼ同じ理由で×が並ぶ。この記事は「×の理由を分類してプロンプトに戻す」運用に切り替えたときの実話と、EC実務にどう応用できるかの話です。
※本文の数値・事例は社内の実測メモに基づく一次情報です。
起きたこと:22本中16本が×だった日
運用はシンプルです。AIが台本を日次生成し、公開前にレビュー担当(経営者)が台帳の「採択(◯△×)」列と「コメント」列で判定する。承認された分だけ翌日以降の空き枠に自動予約される。
9月5日、22本中16本が×。コメントを1本ずつ読み解くと、理由は個別のミスではなく、共通のパターンでした。
- 「3歳の」「秋の夜の」など、年齢や季節を前置きにする
- 自社商品を持っている前提で行動を提案する
- 「公的資料でも…」と具体名を言わない曖昧な権威付け
- 造語的な『』強調語を多用する
- 同じ型のタイトルを連発する
- 字幕が画面からはみ出す
直そうと思えば1本ずつ直せます。でも翌日、同じパターンの×がまた出ます。作業量だけ増えて品質は積み上がらない。
変えたこと:×の理由を分類→禁止事項へ
9月7日、上の6パターンを生成プロンプトとテーマ生成側の禁止事項に反映しました。あわせて、◯だった「道具なしで今夜できる遊びを日常語で提案する」例を採用例としてプロンプトに追加。
やったのはこの3つだけです。
- ×の理由を分類する(似た理由を1つにまとめる)
- 分類した理由を「禁止事項」として生成プロンプトに書く
- ◯だった例を「採用例」として同じプロンプトに書く
ポイントは、レビューの結果を個別の書き直しではなく、次回以降の生成条件そのものに戻すことです。翌週の不採用率は下がる方向に動いています(率の断定はしません。実測は社内記録)。
承認の流れも仕組みにする
もう一つやったのは、承認そのものの導線を仕組み化することです。
レビュー担当がチャットで「ID 10, 12 OK」と返信すると、そのIDだけが翌日以降の空き枠に順送りで自動予約される。日次のストック生成は「予約なし」で止まり、人の◯が付くまで公開されない。
これで「AIが勝手に投稿してしまう」構造上のリスクを消しつつ、承認作業そのものは1行返信で終わる。判定に集中できる状態を作るのが目的です。
人が残る場所を決める
運用を仕組みにするほど、「人がやる部分」を明確に線引きする必要が出てきます。今回はこう分けました。
- 人がやる:判定そのもの/基準の言語化(×の理由をパターンとして言い切る)/例外の判断(例:季節前置きは、季節そのものが内容の本質なら可)
- 仕組みがやる:ストック生成/承認された分だけ予約/禁止事項と採用例の反映
判定と言語化は、AIに委ねると平均化されて丸くなります。ブランドの角度や譲れない一線は、経営者・責任者の判断で残す。ここを渡さないのが品質の分かれ目でした。
EC実務への応用:商品説明・広告文・SNS
商品説明・広告文・SNS投稿をAIに書かせているメーカーは増えています。多くの現場でボトルネックになるのは、生成の腕ではなく承認フローです。
「人が全部直す」運用は、レビュー担当の工数がスケールしません。1日10本チェックできる人でも、100本は無理です。
代わりにこう変える。
- 人は判定と理由の言語化だけをする(直さない)
- 理由は分類してプロンプトに戻す(次回から出ない状態を作る)
- 承認された分だけ公開される導線にする(未承認は公開されない)
この形にすると、レビュー工数を増やさずに品質が積み上がります。担当者が変わっても、蓄積した禁止事項と採用例が引き継がれる。属人化を避けながらブランドの一貫性を保つ、現実的な落とし所だと思います。
チェックリスト:AI生成コンテンツの承認フローに載せるもの
自社で同じ運用を回すなら、最低限これだけは仕組みに入れておきたい項目です。
- 台帳に判定列(◯△×)とコメント列がある
- ×は毎回理由を分類する(個別の書き直しで終わらせない)
- 分類した禁止事項と採用例をプロンプトに反映した日付を残す
- 承認された分だけ公開される導線になっている(未承認は投稿されない)
- 例外の判断基準(本質に関わる場合は可、など)を明文化する
まとめ
AIコンテンツの品質は、生成の腕ではなくレビュー結果を仕組みに戻す速さで決まります。×の理由を分類して禁止事項に、◯を採用例にして翌日の生成に反映する。人は判定と基準の言語化に集中し、直す作業は減らす。
派手さはありませんが、翌週・翌月にじわじわ効いてくる運用です。
自社のEC運営でも、商品ページ・広告文・レビュー返信などAIに書かせている領域があれば、承認フローの構造から見直してみてください。店舗URLでの無料EC診断もやっています:https://ec-sekitoba.jp/#contact