毎週の定例で「数字は見た。で、今週は何を変えるのか」が止まる。そんな感覚があるなら、レポートの作りを疑う価値があります。この記事では、週次レポートに何を載せ、何を載せないかを決めた判断基準を書きます。
数字を網羅したレポートは、読まれても判断が進まない
2026年9月9日、自社Amazon店舗の週次レポートを作り直しました。生成AIで毎週書かせているもので、数字は網羅されていて、読めば状況は分かります。ACoS(広告費÷広告経由売上)のような指標も並んでいました。
問題は、読み終わったあとに手が動かないことでした。全景が分かることと、今週どこに予算と時間を割り当てるかが決まることは別物です。
そこでレポートの目的を「状況の報告」から「火曜の定例で下す3つの判断の材料」に変えました。毎週決めるのは、広告予算・順位が落ちたKWの手当て・在庫の3つだけ。数字はその判断に効くものだけを並べます。
判断①:広告予算を増やす・保つ・絞るか
材料として並べるのは、広告費・表示回数・クリック・ACoS・CTRの8週推移です。単週の上下に振り回されないための期間指定です。
参考シグナルとして、直近のACoSが過去平均の0.9倍以下なら「増やす」候補、1.2倍以上なら「絞る」候補、という目安を置きました。この0.9/1.2は自社の目安として置いた値で、業種や粗利構造が変われば別の数字になります。記事中の計算は考え方を示すための仮の計算例として読んでください。たとえば過去8週の平均ACoSが25%で直近が21%なら0.84倍で「増やす」候補、31%なら1.24倍で「絞る」候補、という読み方です。
もう一つ必須にしたのが撤退線です。「増やす」と決めるなら、どこまで悪化したらやめるかを同じ場所に書く。ここを書かないと、増やした予算は下げどきを失います。広告後粗利(広告費を引いたあとに手元に残る粗利)を守るのは、増やす判断よりも下げる判断の方です。
判断②③:落ちたKWの手当てと、在庫30日未満のSKU
判断②は、前週から5位以上落ちたキーワードだけを対象にします。1か月前との比較、検索ボリューム、その商品の方針を並べたうえで、「広告で手当て/ページ見直し/放置」のどれかを提案させる。放置を選択肢に入れているのが要点で、全部拾おうとすると手が足りません。
判断③は在庫日数30日未満のSKUだけ。全SKUの在庫表は載せません。
構成は「今どこ・次に何」→全景→判断①〜③→前週にやった実験の検証→要判断、の順に固定しました。月曜に下書きを作り、火曜の朝7時に投稿する二段構えです。データが欠けた週も、警告付きで必ず投稿する。止めてしまうと、その週の判断ごと流れるからです。
作り直して見つかった2つの落とし穴
- 商品ごとの方針(維持・成長・収穫・見直し)の対応表が空欄のままだった。結果、12商品すべてが同じ基準で評価されていた。方針を1商品ずつ埋めて解消
- AIがレポート全体をコード表示の枠で囲み、チャット上で読めない塊になった。フォーマット例に使った記法を、出力そのものの一部だと解釈したため。プロンプトに一文足すのと、投稿直前に外側の枠を剥がす処理の二重で止めた
前者は「AIの出力が悪い」話ではなく、こちらが判断の前提を渡していなかった例です。材料の出し方より先に、方針が決まっているかを疑った方が早い場面があります。
AIに渡さなかったもの
3つの判断そのものを下すこと、撤退線の設定、商品ごとの方針の決定は人に残しました。AIがやるのは材料を並べて候補を出すところまでです。
作り直しの前に確認するとよい5項目を置いておきます。
- 毎週決めることを3つ以内に書き出せているか
- 各判断に、材料となる数字と見る期間(単週ではなく8週など)が決まっているか
- 「増やす」判断に撤退線がセットになっているか
- 商品ごとの方針が決まっていて、レポートがそれを参照しているか
- データが欠けた週に止まらず、警告付きで出る設計か
週次レポートの目的は、広告後粗利を守る判断を毎週遅らせないことです。網羅性はそのための手段にすぎません。
数字は見ているのに毎週の判断が進まない、という感覚があるなら、まずは現状の可視化からだと思います。店舗URLをいただければ、広告後粗利の観点でどこに改善余地がありそうかを無料EC診断としてレポートでお返しします。https://ec-sekitoba.jp/#contact
AI導入・内製化のご相談も同じ窓口で受けています。