AIに文章を量産させている運用で、いちばん静かに壊れるのは品質ではなく供給量です。2026年9月上旬、自社のSNS運用でそれが起きました。禁止ルールをひとつ強くしただけで、翌週分の在庫が3日分まで減っていた話を、原因と対策の形で共有します。
この記事で分かるのは、AIによる自動補充が止まるときの4つの典型パターンと、ルールを足した日に必ず見るべき数字です。
35本頼んで、返ってきたのは12本
自社のSNSで、国旗や都道府県の3択クイズ動画を毎日投稿しています。台本は生成AIが週1回まとめて35本作り、台帳に補充する形です。
9月9日の補充は35本中12本の部分成功で終わり、ストックは3日分まで減りました。残量アラートは9月10日から14日まで5日連続で鳴っています。投稿が止まる一歩手前でした。
詰まりは4段重なっていた
- 9月上旬に、最難問の正解の重複除外を「直近40件」から「30日分すべて」に広げた。結果、47都道府県のうち43県が塞がり、落とした28本のうち24本が最難問の重複だった
- AIに渡していた除外リストが60件で切れていた。実際の除外条件はそれより広いので、AI側には避けようがなかった
- 35本中12本でも「正常終了」扱いで、翌朝の再実行が走らなかった
- 補充が「最終日の翌日から35本」固定で、いったん減った余裕が戻らない設計だった
1つ目で供給が細り、2つ目でAIが避けられず、3つ目と4つ目で減った分が戻らない。4つが重なって「黙って減り続ける」形になっていました。
9月14日に入れた4つの対策
- 除外は種類ごとに母数の50%まで(都道府県なら23県まで)
- 除外リストはAIに全件渡す。条件を隠したまま「重複するな」と言わない
- 部分成功は異常終了として扱い、翌朝の再実行を必ず起こす
- 補充本数の固定をやめ、「10日先まで埋まる本数」を毎回自動計算する
あわせて、出題の幅そのものを広げました(形・旗40、地理知識40、位置当て20)。ルールを緩めるだけでなく、母数そのものを増やす判断です。ここは社内で決めました。
AIに検証させ、人が拾ったもの
新しく作った34本は、「事実として正しいか」「問題として成立しているか」の2観点で複数のAIに検証させました。指摘は265件。そこから、正解が2つ成立してしまう問題など6本を保留にしています。同じ問題文が40日で5本(ある県庁所在地を問うもの)という短期の繰り返しも見つかり、30日以内の同一問題文は機械で落とすガードを足しました。
残るのは人の仕事です。出題の幅を広げるかどうかの判断、保留にした問題を直すか捨てるか、265件のうち「要判断」に分類されたものの決着。AIは候補と指摘を大量に出せますが、どれを飲むかは人が決めます。
ECの現場に置き換えると
商品説明、レビュー返信、SNS投稿、広告文をAIで補充している店舗でも構造は同じです。「同じ言い回しを使うな」「この表現は禁止」とルールを足すほど、AIが選べる答えは減ります。品質を上げたつもりが供給を細らせ、ページ改修や広告文の差し替えが予定どおり進まない。手が止まった分は、広告後粗利(広告費を引いたあとに手元に残る利益)の改善が後ろ倒しになる形で効いてきます。
ルールを足した日に見る5項目:
- 何本頼んで何本返ってきたか(率ではなく実数の成功本数)
- 落ちた分の理由の内訳(どのルールで何本落ちたか)
- 除外条件が母数の何割を塞いでいるか
- 部分成功のとき、次の実行が自動で起きるか
- 在庫が何日分あるか
判断基準は1行です。部分成功を成功として扱わない。35本中12本は「動いた」ではなく「壊れている」。ここを成功扱いにしている限り、アラートは在庫が尽きる直前にしか鳴りません。
禁止ルールは品質の道具であると同時に、供給を絞る弁でもあります。足すときは母数に対する上限を決め、除外条件はAIに全部見せ、部分的な失敗は翌朝もう一度走る形にしておく。在庫は「気づいたら減っていた」という減り方しかしません。
自社の運用でも、AIに任せた部分がいつの間にか止まっていないか、成功本数の実数から確かめてみてください。店舗URLでの無料EC診断もやっています(AI導入・内製化の相談も同じ窓口です):https://ec-sekitoba.jp/#contact