表示に明確な基準がある商品ほど、原稿の確認は「抜き取り」で済ませがちです。2026年9月18日から24日にかけて、自社で制作中の小学2年生向け漢字ポスターで、例文274本を全数チェックしました。
この記事では、機械に任せた部分と、人が決めるしかなかった部分を分けて書きます。教材の話ですが、そのままEC商品ページの表記チェックに置き換えられます。
9月18日:例文24本に「まだ習っていない漢字」
ポスターには漢字ごとに音読み・訓読みの例文を載せます。紙面の都合で、どちらも6字以内の短縮版を作りました。
ここで効いてくる制約が「その学年でまだ習っていない漢字を例文に使わない」です。小学2年生向けなら、例文に使えるのは1〜2年生で習う漢字だけ。学年別の漢字の一覧は公開されていて、範囲は一意に決まります。つまり人の感覚で判断する余地がない。こういう項目こそ機械の出番です。
例文と学年別の漢字一覧を突き合わせるスクリプトを用意し、AIと組み合わせて274本を全数照合しました。ここでのコツは、判定を生成AIの語感に任せず、公開されている漢字一覧との機械照合に落とすこと。基準が外にあるものは、AIに「たぶん大丈夫」と言わせてはいけません。
9月18日の1回目で、上の学年の漢字を含む例文が24本見つかりました。目視の抜き取りでは、取りこぼしが出やすい件数です。
うち15本は、1〜2年生の漢字だけでできる語に差し替えられました。残る9字は、言い換えの候補が見つからず判断待ちになりました。
9月21日:直し方を決めたのは人
違反を見つけるところまでは機械で終わります。問題はその先で、直し方が2通りありました。
- 語ごと差し替える(例文の意味やニュアンスが変わる)
- ひらがなに開く(交ぜ書きにする。「ふ思ぎ」「黒ばん」のような表記)
どちらもルール上は通ります。だから機械には決められません。語を差し替えると、子どもが覚える語彙が変わる。表記の統一を取るか、語彙を取るか。これは正誤ではなく商品の方針です。
9月21日、社内の判断で「ひらがなに開く」に統一しました。決め手は、原稿にもともと「べん強」のような書き方があったこと。既存の表記に合わせるほうがポスター全体として一貫します。この方針に沿って、先に差し替えた15本は元の語に戻し、残っていた9字も交ぜ書きで解消しました。
結果は、上の学年の漢字0、274本すべて6字以内、検証スクリプトの例外リストは空。
9月24日には、ひらがなに開いたセル20個を色でマークしました。人が最後に見る場所を、あらかじめ狭めておくためです。
例外リストが空になるまで回す
「この数件は既知だから無視」と例外リストに積むと、次の修正でそこに紛れ込んだ新しい違反に気づけなくなります。0件かどうかは誰でも判定できますが、「3件のはず」は誰も検算できません。今回は例外0件で終えました。
機械で見るもの/人が決めるもの
EC実務に置き換えると、線引きはこうなります。
機械で全数見るもの(基準が一意に決まる)
- 文字数・字数の上限(商品名、画像内コピー、メルマガ件名)
- 使ってよい語・使ってはいけない語のリスト照合(表現の制限、旧社名、終売品名)
- 型番・内容量・入数が、商品名・仕様表・画像で一致しているか
- 必須表示項目の欠落(原材料、内容量、使用上の注意など)
人が決めるもの
- 違反が見つかったときの直し方の方針(言い換える/表現を開く/項目ごと落とす)
- 例外を認めるかどうかと、その理由
- 機械がマークした箇所の最終確認
判断基準は1つで足ります。直し方が2通り以上あり、どちらを選んでもルール上は通るなら、人が決める。 ルール上1通りしか通らないなら、機械に任せてよい。
手戻りは粗利から出ていく
刷り直し、ページの差し替え、外注への再依頼。どれも売上を増やさずコストだけ乗るので、広告費を引いたあとの粗利を確実に削ります。SKUが増えるほど抜き取り確認は追いつかず、見落としの確率だけが上がる。基準が一意な項目を全数で見るのは、品質の話であると同時に利益の話です。
まとめると、こうなります。
- 基準が一意な項目は、サンプルではなく全数で見る
- 直し方が複数あるときは、方針を人が決めてから直す
- 例外リストが空になるまで回すと、確認漏れが消える
まずは自社の商品ページで「基準が一意な項目」がどれだけあるか、書き出すところからで十分です。店舗URLでの無料EC診断もやっています:https://ec-sekitoba.jp/#contact
AI導入・内製化のご相談も同じ窓口で受けています。