生成AIを業務に入れて数か月たつと、「毎回ゼロから説明し直している」という感覚が出てきます。私たちも同じでした。2026年9月18日、自分たちのAI作業の履歴を1か月分だけ集計したところ、上位2つの作業だけで月62セッションを占めていました。
この記事では、何を数えて、どの順番で「型(決まった手順)」にし、何を人の手元に残したかを書きます。読み終えると、自社のどの業務からAIに任せる形を作るか、その順番のつけ方が分かります。
感覚ではなく、1か月分の作業を数えた
集計したのは、生成AIとのセッション167件と、その中で出した依頼391件です。数えると、上位は地味で回数の多い作業でした。
順番をつける判断基準は1行です。
- 月に何回出るか × 1回あたりの準備の手数
この積が大きいものから型にします。逆に、月に1〜2回しか出ない作業は、凝った仕組みを用意するより、その都度書いたほうが早い。型は作れば作るほど「どの型を使うか選ぶコスト」が増えるので、上位だけに絞るのが実務的でした。
1位:返信・依頼文の準備に、毎回40手かけていた(月48セッション)
最多はチャットでの返信文・依頼文のドラフトでした。毎回40回前後の操作をしていて、中身はほぼ同じです。メッセージのURLを分解する、本文を取得する、どの案件の話か探す、相手に合う文体を考える。この準備が、毎回の返信の前に挟まっていました。
型にしたあとはこうなりました。
- URLを貼るだけで、相手・案件・文体が決まる
- 正本として、外部パートナーの連絡先・担当案件・文体をまとめた一覧を新しく作った(型の精度は、この一覧の鮮度で決まります)
- 入力は3つだけ。返信/新規の依頼・報告/添削。添削では本人の言い回しを残す
- できたドラフトは案件フォルダに保存し、記録に1行だけ残す
- 送信はしない。「送って」と明示したときだけ送る
工夫したのは、賢い文章を書かせることではなく、準備を一覧に外出しすることでした。
2位:外注の納品物チェック(月14セッション・6案件)
次は、外注パートナーからの納品物の確認です。教材ポスターやカードなど6案件で毎回やっていた、「頼んだ修正が全部入っているか」「頼んでいない所が勝手に変わっていないか」の突合でした。
型にした手順は次の通りです。
- 依頼リストを、直近のドラフトや記録から復元する
- 納品物(画像・PDF・文書・表)を細かく分割し、1項目ずつ照合する
- 反映済み/一部/未反映の表にして残す
- デザインの良し悪しは見ない(それは別の型の仕事)
- 「校了」の判断は人がする
依頼リストは会話や記録の中に散らばりがちなので、復元を手順の1段目に固定しました。
型にしなかったもの、人が残る場所
候補に挙がったのに型にしなかった作業もあります。「資料をHTMLでまとめて」は、ルールに1行足すだけで足りました。頻度が高くても、準備の手数が少ないものは型にする価値が薄い。ここは素直に見送るのが正解でした。
人が最後まで持つのは3つです。送信の判断、校了の判断、そして相手との関係に関わる言い回し。ここを渡すと、速くはなっても信用が減ります。型にするのは、あくまでその手前の準備までです。
店舗運営なら、どこから型にするか(チェックリスト5項目)
同じ見方は、そのままEC実務に置き換えられます。自社で「毎回同じ準備をやり直している」作業を数えてみてください。
- 商品登録(型番・サイズ・素材の表記ゆれの統一)
- 問い合わせ返信の下書き(定型部分と個別部分の切り分け)
- 外注への修正依頼と、その納品物の突合
- 広告レポートを読む前の数値の整形(取り違えを減らす)
- モールの仕様変更の要点整理
順番は同じく「月の回数 × 1回の手数」で決めます。そしてEC実務での効き目は、浮いた時間を何に回せたかで測るのがおすすめです。目安のひとつは、広告後粗利(広告費を引いたあとに手元に残る利益)をSKU単位で見る時間が増えたかどうかです。準備を減らすこと自体はゴールではなく、利益の数字を見る時間を作るための手段です。
まずは1か月分を数えるところからで十分です。上位2つを型にするだけでも、外注や取引先とのやり取りの手戻りを減らす余地があります。
業務のどこからAIで型にするか迷う場合は、まず現状の可視化から始めるのが近道です。赤兎馬では、店舗URLをいただければ改善余地を無料EC診断としてレポートでお返ししています。AI導入・内製化のご相談も同じ窓口で受けています。
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