広告の効率を上げようとすると、多くの人はまず広告側を触ります。入札を下げる、キーワードを絞る、除外を増やす。
ですが同じ効率は、客単価を動かしても手に入ります。そして客単価側のほうが、上限が高いことがよくあります。
客単価が上がると、広告の余裕は自動的に増える
説明のための仮の計算例です。
現状
- 客単価:3,000円
- 単品粗利:1,300円(粗利率 43.3%)
- 損益分岐ACoS:43.3%
- 実ACoS:30% → 広告費 900円
- 広告後粗利:1,300 − 900 = 400円
ここで、CVRもCPCも一切変えずに、1注文あたりの点数を1.0から1.4に上げたとします。
客単価が1.4倍になった場合
- 客単価:4,200円
- 粗利:1,820円(粗利率は同じ 43.3%)
- 広告費:CPCとCVRが同じなら、1注文を取るための広告費は変わらず 900円
- 広告後粗利:1,820 − 900 = 920円
広告後粗利が 400円 → 920円、2.3倍になりました。広告側は何も触っていません。
ポイントは、広告費は「1注文を取るためのコスト」であって、注文の中身の点数には比例しないことです。2点買われても3点買われても、その注文を取るためのクリック単価は同じ。だから点数が増えるほど広告費が薄まります。
実ACoSで見ると、900 ÷ 4,200 = 21.4%。損益分岐ACoS 43.3%に対する余裕が大きく広がりました。この余裕は、より競争の激しいキーワードに入札できる体力になります。
客単価を上げる3つの手段と、粗利率への影響
手段によって粗利率への効き方が違うので、分けて考えます。
- セット販売(複数点をまとめた商品として販売):客単価 上がる/粗利率 下がりやすい(セット割引のぶん)/発送コスト効率 良くなる(1発送で複数点)/注意点 割引しすぎると粗利総額が減る
- まとめ買い割引(同一商品の複数購入):客単価 上がる/粗利率 下がる(割引分)/発送コスト効率 良くなる/注意点 消耗品以外では効きにくい
- 同梱・関連提案(別商品を一緒に買ってもらう):客単価 上がる/粗利率 維持できる(割引しない場合)/発送コスト効率 良くなる/注意点 提案の導線が必要
粗利率を守りたいなら、割引を伴わない「同梱・関連提案」が最も筋がいい手段です。セット販売は分かりやすい反面、割引が前提になりがちで、点数は増えても粗利総額が増えないケースがあります。
セットを作るときは必ず、セット後の粗利総額が単品×点数の粗利総額を上回るかを検算してください。
やってはいけない2つの設計
1. 主力単品とのカニバリを起こすセット
単品で売れている主力商品を、割引付きのセットに入れると、これまで定価で買っていた層がセットに流れます。点数は増えますが、粗利は減ります。
セットに入れるべきは、単体では動きが鈍い商品か、主力と一緒に使われるが単体では思いつかれない商品です。
2. 原価の重い商品を抱き合わせる
「ついでにこれも」と原価率の高い商品を同梱すると、客単価は上がるのに粗利率が大きく下がります。同梱で足すべきは、単価に対して原価の軽い商品です。
発送コストの効果も忘れずに
点数が増えると、送料・梱包の1点あたり負担が下がります。
- 1点購入:送料700円 → 1点あたり700円
- 2点購入:送料700円 → 1点あたり350円
先ほどの粗利計算では粗利率を一定として扱いましたが、実際には発送コストが薄まるぶん、粗利率はむしろ改善します。客単価向上の効果は、広告と送料の両方に効く二重の効果です。
セットを作る前のチェックリスト
- 現在の平均購入点数を把握しているか
- セット後の粗利総額が、単品×点数の粗利総額を上回るか検算したか
- 主力単品とのカニバリが起きない組み合わせか
- 同梱する商品の原価率は、単価に対して軽いか
- セット化でサイズ区分が変わり、送料が跳ねないか
- 関連提案の導線が商品ページ・カート画面にあるか
まとめ
広告の効率が頭打ちに見えるとき、それは広告側の限界ではなく、客単価側に手を付けていないだけのことがあります。
CPCを10%削るのは相当な工数がかかりますが、平均購入点数を1.0から1.2に上げるほうが、店舗によっては簡単です。まず自店の平均購入点数を確認してみてください。
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