購入後のLINEフォローを別の仕組みへ移すとき、いちばん避けたいのは「お客様に同じメッセージが二重で届くこと」です。
この記事では、私たちが自社ECの購入後LINEフォローを移行したとき(2026年9月24日〜10月4日)の記録をまとめます。お客様に一通も試し送りせずに配信経路を検証した方法、それでも実機テストでしか見つからなかった4つの落とし穴、移行前のチェックリストの3点です。
移すものは「シナリオ6本・14通」、届け先は約4,400人
移行したのは次のような仕組みです。購入者にLINEへ登録してもらい、そこから自動で配信します。
- レビュー依頼
- 評価ボタン(高評価/低評価)
- 保証書・ギフトの案内
- 購入5日後のアンケート
- 8日後の未回答リマインド
これを既存の有料配信ツールから自社運用の仕組みへ移しました。リストは約4,400人。シナリオ6本・14通、フォーム2本、自動応答を転記して再現しています。
乗り換えで難しいのは検証です。「実際に送って確かめる」と、新旧両方の仕組みからお客様に届いてしまいます。レビュー依頼が2通、保証書の案内が2回届けば、それだけで信頼を削ります。購入後フォローはレビュー件数とリピートに直結し、広告で獲得したお客様から最終的にどれだけ粗利が残るか(広告後粗利)を左右する接点です。しかも5日後・8日後の配信は、実際に待てば検証だけで1週間以上かかります。
送らずに確かめる道具を、先に作った
9月24日、AIと一緒に「ファネルの自動検証」を作りました。移行先のテスト環境から設定を読み取り専用で読み込み、配信エンジンの規則をソースどおりに再現します。そのうえで、友だちの操作ごとに「いつ・どのメッセージが届くか」を計算します。5日後・8日後の待ちも数秒で回ります。
検証の中身は2層です。
- 配線の静的チェック:全ボタンに対応する処理があるか、フォームURL・タグ・シナリオの参照先が実在するか
- 経路ごとの検査:届くべきものが届くか(過不足)、二重に届かないか(重複)、何時に届くか(配信時刻)
経路は、高評価/低評価/評価未タップの救済/無反応/注文番号の再送信など11経路から始め、10月2日に押し直し3種と手入力を足して15経路、検査項目は84になりました。
もう一つ大事にしたのが「検出力の確認」です。同日に直した不具合をわざと設定上に戻し、該当する経路がNGになることを見ました。「全部OK」が「何も見ていないからOK」ではないと確かめる工程です。
この道具が先に見つけた不具合は次のとおりです。
- レビュー依頼のシナリオがボタン押下後も並行で走り続け、翌日リマインドと2日後の保証書が重ねて届く(移行元との仕様差)
- 評価済みタグの付け忘れ
- 未回答リマインドの条件抜け
どれも、お客様に送ってから気づけば「二重配信」「届かない」として表に出ていた種類のものです。保証書の重複は「シナリオ末尾に7日の待ちステップを置く」ことで塞ぎました。設定では塞げない残り(7日を過ぎてからの押し直しなど)は、既知の経路として記録しています。
道具の限界を、最初に書いておいた
道具を作る段階で「これでは分からないこと」を書き出しました。フォームの表示と送信、ボタンの見た目、画像、LINE標準の自動応答です。
限界を先に書いておくと、人のテストが見るべき範囲が絞れます。社内メンバーが全経路を手で押して回る必要はなく、道具が見られない場所に集中できました。
84項目OKのあと、実機で見つかった4つ
社内メンバーによる実機テスト(9月24日〜10月4日)で分かったのは次の4つです。
- 翌日リマインドが深夜0時17分に予約されていた:「前のステップから24時間後」という設定のため、夜に答えた人には深夜に届く。過不足も重複もないので、経路の検査では異常として出てこない種類です。運用担当の指示で翌日18:00固定に作り直しました。配信方式は後から変えられない仕様だったため、ステップを作り直して接続先を付け替えています
- 注文番号フォームのリンクが約30秒遅れで届き、テストで2回押された:即時送信に変更
- アンケートの年齢欄に「2歳」「31歳」と文字で入力された:数字入力に変更
- PC版LINEではリッチメニューが出ない:実機確認はスマホで行う
さらに10月2日には、移行元の管理画面の現物を読み直して突き合わせ、空行が多かった9か所とお礼の1文を原文どおりに直しました。転記で「中身が同じ」でも「見え方が同じ」とは限りません。
人が残る場所
AIと作った道具は、配線と経路の網羅を担いました。一方で、次の3つは人が持ち続けています。
- 時刻の判断:深夜0時17分を「良くない」と決め、18:00に固定するのは運用担当の判断です。道具はこれを誤りとは判定できません
- 実機での違和感:二度押しや文字入力のように、お客様の手の動きから出てくる問題
- 原文との同等性の最終確認:空行や言い回しまで含めて、受け取る側の印象が変わっていないか
移行前チェックリスト
配信ツールを変える前に、私たちが見た項目をまとめます。
配線の実在
- 全ボタンに処理がつながっているか
- フォームURL・タグ・シナリオの参照先が実在するか
経路ごとの配信時刻
- 高評価・低評価・未タップ・無反応・再送信・押し直しの各経路で、いつ何が届くか
- 「◯時間後」設定のせいで、夜に操作した人へ深夜配信が起きないか
重複防止
- ボタン押下後も前のシナリオが走り続けていないか
- 評価済みなどのタグが確実に付くか
- 設定で塞げない残りを経路として記録したか
実機で見る4項目
- フォームの表示と送信(入力形式を含む)
- ボタン・画像の見た目
- LINE標準の自動応答との干渉
- スマホでのリッチメニュー表示
判断基準は1つです。検証道具で全経路がOKになるまで実機テストに進まない。実機テストでは、道具の限界として書き出した項目を重点的に見る。この順番にすると、人の手間は「人にしか見られないこと」に集中します。
まとめ
乗り換えの検証は「送らない道具」と「実機テスト」の二層で考えると整理できます。道具で配線と経路を網羅し、限界を先に書いて、人は時刻の判断・実機での違和感・原文との同等性に集中する。顧客に届く二重配信や深夜配信を、送る前に潰すための分担です。
上のチェックリストだけでも、自社で潰せるものは多いはずです。一方で、経路の洗い出しや検証の仕組みづくりには、それなりの工数と慣れが要ります。まずは自社の現状を可視化してみませんか。店舗URLをいただければ、改善余地をレポートでお返しします(無料EC診断)。購入後フォローやCRMの移行・自動化のご相談も、同じ窓口で受けています。
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